介護事業所の責任者様・事務長様、「介護システムを使って介護記録のICT化に取り組みたいが、何から手をつけていいかわからない」というお悩みはありませんか。
かねてから、働き方改革や介護人材の確保・職員の負担軽減のために、介護記録のICT化の必要性は高まっていましたが、令和3年度からの科学的介護情報システム「LIFE」へのデータ提出が始まったことで、いよいよ避けては通れなくなりました。
介護トータルシステム『寿』は、『寿』ver5発売開始より本格的に介護記録のICT化をご支援して参りました。
この記事では、実際に弊社がおすすめしている進め方や工夫したことなど、お客様と取り組んで掴んだICT化のコツをご紹介します。
この記事が、「どうすれば介護記録のICT化を失敗せずに始められるだろうか」という悩みのお役に立てば幸いです。
はじめに:こんなお悩みありませんか?
以下のようなお悩みはありませんか?
もし一つでもあてはまるお悩みがあるならば、介護記録のICT化に取り組むきっかけとしては十分だと考えます。
介護事業所の責任者様・事務長様
- 職員の残業時間が多い
- 職員によって記録の書き方や内容がバラバラ
- 必要なときに必要な利用者の情報が、ぱっと見つけられない
- スタッフステーションにいる時間が長く、混んでいる
- 実地指導・監査の準備に時間がかかる
- 働きやすい職場を作らないと、職員を確保出来ない(特に若い職員)
介護記録のICT化は、事業所経営・ケアの安全と質・職員のモチベーションに関わるこれらのお悩みを解決します。
介護事業所の職員様
- 事務作業が利用者のケア時間を圧迫している
- どこに利用者の情報があるか、書類を探さないといけない
- 色々な様式に、同じことを書き写している
- まとまった時間が無いと、介護記録が作れない
- 申し送りや注意事項を書き残すのが大変
- 複数の部署・他職種に電話することが多い
- スタッフステーションに行かないと利用者の情報がわからない
- 他の職員の書いた記録が読めない
介護記録のICT化は、現場での情報共有・事務作業に関わるこれらのお悩みを解決します。
なぜ今、介護記録のICT化に取り組むのか?
介護記録のICT化を行うきっかけや目的は、明らかになりました。 では、なぜ今介護記録のICT化に取り組む必要があるのでしょうか?
弊社では、今取り組まなければならない3つの理由があると考えています。
職員の業務改善につながるため
介護職員の確保は、ますます難しくなっています。
職員の確保・採用に取り組むと同時に、働いている職員の負担軽減に努めることも大切です。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会の調査では、介護職員は「引継ぎ・会議・記録」に業務時間の12%を割いていることがわかりました。
また、令和2年度ICT導入支援事業 導入効果報告では、ICT導入の効果として、61%の事業所が「直接ケアにあたる時間が増加した」と回答しました。
この2つの調査から、介護記録のICT化は「引継ぎ・会議・記録」の時間を減らし、直接ケアにあたる時間を増やすと言えます。
また、令和3年度より科学的介護情報システム「LIFE」へのデータ提出が始まったことで、利用者に関する情報や日々の記録をデータ化する必要性も出てきました。
BCP対策として有効なため
新型コロナウイルス感染拡大下で、どのように事業を継続するか頭を悩ませた事業所様も多かったのではないでしょうか。地震や台風・水害など、予期せぬ災害にも備えが必要です。
また、令和3年度介護報酬改定にて、感染症対策への強化・業務継続に向けた取り組みの強化が運営基準に追加されました。サービス継続のための、BCP対策の策定・具体策の実行が求められています。
介護記録のICT化は、感染症・災害下でのサービス継続に有効です。
いくつかの事業所様での事例をご紹介します。
- 訪問看護ステーションで感染症の濃厚接触者が発生した。 訪問看護師は利用者宅へ直行直帰しており、利用者カルテをタブレットで参照できていたため事業継続できた。
- 居宅介護支援事業所で感染症の濃厚接触者が発生した。 ケアマネージャはタブレットを持ち帰り在宅勤務が出来たため、事業継続できた。
- 特養で大雨による浸水被害が発生した。 利用者カルテや書類はクラウドサービスを使っていたため、データを損失することなく継続して参照でき被害を受けなかった。
どの事業所様も、職員の業務負担軽減や業務改善のために介護記録のICT化に取り組まれていましたが、結果としてBCP対策にもつながりました。
補助金があるため
国は、介護事業所のICT化を進めるために様々な補助金を用意しています。
今回ご紹介する補助金以外にも、テレワークや働き方改革を進める助成金、設備投資に関わる税制優遇もあります。
※補助金・助成金・税制費に関する情報の詳細は、各実施団体へお問い合わせください。
- ICT導入支援事業
- 介護ロボット補助金
- IT導入補助金
介護記録のICT化とは?
介護記録のICT化とは、具体的にどのような状態のことを示すのでしょうか。
介護記録のICT化とは、事業所運営と利用者に関する記録を、パソコン・タブレット・スマートフォン・IoT機器を使って、入力・参照・管理することです。
入力・参照・管理は、基本的に介護システムへ行います。
Excel・Wordを使用して、介護記録や事業所独自の様式を作成している事業所様も多いかと思います。介護記録のICT化にトライする際には、できるだけ介護システムの使用をおすすめしています。理由は4つあります。
- 介護保険請求のため利用者情報は登録があり、データの流用ができるから。
- LIFEや介護保険請求など、登録したデータの二次活用が期待できるから。
- 様式をメンテナンスする必要が無いから。
- データのバックアップやファイルの破損を気にする必要が無いから。
事業所運営情報の例
業務日誌
契約書
同意書
議事録
ヒヤリハットレポート…等
利用者情報の例
フェイスシート
バイタル
ケアの実施記録
申し送り…等
いざ取り組みを開始しようとしても、介護事業所には独自の運用と多種多様な記録の様式があるため、現場の職員へどのように協力を依頼しようか?職員がパソコンに疎くかえって負担になるのではないか?という不安が出てくると思います。
介護記録のICT化にはステップがあります。
上記に上げた運用や書類を、一気にICT化しようとしてもなかなかうまくいきません。
小さなステップから、徐々にトライし取り組むことをおすすめしています。
おすすめのステップ例
ステップ0:基本情報
- 介護保険請求に必要な情報
- フェイスシート/アセスメントシート
ステップ1:バイタル・食事摂取・排泄・水分量・服用の記録
- 体温・脈拍・呼吸・血圧・SpO2→温度板
- 食事・水分摂取量・排泄回数・排泄量・排泄状態
ステップ2:日々のケア実施記録
- 介助・レクリエーションの記録
- リハビリ・服薬管理・医療処置の記録
ステップ0からステップ2まで実行できると、利用者の記録ICT化は完成します!
ステップ3:申し送り・多職種間での申し送り
- 次の勤務帯への申し送り
- 職員全体へ共有事項
ステップ4:文書の一元管理
- 介護保険証の控えの管理
- 各種サービス契約書
- 他事業所からの申し送り
- 医療機関からの診療情報提供書…等
ステップ5:事業所運営に必要な記録
- ヒヤリハットレポート
- 苦情管理
- カンファレンスの議事録
- 相談記録
- LIFE 提出データ
ステップ6:業務日誌の作成
- 業務日誌の作成(利用状況・勤務状況・申し送り・行事/イベント・特記事項)
ステップ3からステップ6まで実行できると、事業所の記録ICT化は完成します!
もちろん、各職種ごとに使用している計画書やサマリと言った様式もあるでしょう。
介護システムに様式があるか・使用できるかを確認をお願いします。
どうやって始めるのか?
それでは、どのように始めれば良いのでしょうか?
3つの視点から、具体的な始め方をご紹介します。
- どんな手順で進めるか?
- 検討スケジュール
- 必要なコスト
具体的な始め方については、「介護記録のICT化 失敗しない始め方」をご覧ください!
「介護記録のICT化 失敗しない始め方」では、この記事でご紹介した内容に加えて、手順・スケジュール・コストなど、検討が必要なポイントを解説しています。
また、実際に介護記録のICT化にトライしたお客様からのよくあるお悩みと導入の効果も記載しています。
【目次】
1.どうやって始めるのか?
(1)どんな手順で進めるか?
- ①準備をする
- 現状を把握する
- ゴールを決める
- 体制メンバー・決める会議を作る
- ②検討チームで決める
- スケジュールを決める
- 運用を決める
- 教育の仕方を決める
- ③教育
- コアメンバーが教育を受ける
- 運用とずれが無いかチェックする
- 一般職員にも教育を広める
- ④運用・振り返り
- どうだったか
- 新しい取り組みを決める
(2)検討スケジュール
(3)必要なコスト
2よくあるお悩み
- 何から始めればよいかわからない。
- 職員が、介護記録のICT化を不安がっている。
- 職員の年齢層が高く、パソコンに苦手意識がある。
- パソコンの台数が足りない。
- 今使っている介護システムで何ができるのかわからない。
- 介護システム会社に、何をどうお願いすればよいかわからない。
3.導入の効果 ICT化した事業所の声
- 『寿』で記録をしているユーザー様の声
- 介護記録をICT化したきっかけは?
- 記録をICT化したメリットは?
- LIFEへの対応はいかがでしたか?
- どんなことを工夫しましたか?