半年前に三年に一度の報酬改定が終わったばかりですが、次回の2024年は医療と介護のダブル改定でしかも両制度とも、六年に一度の制度改正も実施されます。社会保障制度の持続可能性を高めるためにも歳入・歳出だけではなく、制度自体にも大きなメスが入る事は間違いありません。
介護保険部会だけでなく、財政制度等審議会が出した「財政健全化に向けた建議」といった資料からも介護に向けた提案が出されております。その中からいくつか切り出してご案内したいと思います。全体版をご覧になりたい方は「財政健全化に向けた建議」で検索して頂けるとHitしますのでご覧ください。
利用者負担の見直し
介護保険制度の持続可能性を確保するためには、利用者負担の更なる見直しといった介護保険給付範囲の見直しをはじめとする制度改革を着実に実施し、制度の持続可能性を高めていく必要がある。 介護保険サービスの利用者負担を2割とすることや2割負担の対象範囲の拡大を図ることを検討していく。
現在 1割負担利用者:92%
ケアマネジメントの在り方の見直し
サービス利用が定着し、他のサービスでは利用者負担があることも踏まえれば、利用者負担を導入することは当然。ケアマネジメントに利用者負担を導入すべき。また、福祉用具の貸与のみを行うケースについては報酬の引下げを行う等サービスの内容に応じた報酬体系とする。
多床室の室料負担の見直し
介護老人保健施設・介護医療院・介護療養病床の多床室については、室料相当分が介護保険給付の基本サービス費に含まれたまま給付対象となっている。居宅と施設の公平性を確保し、どの施設であっても公平な居住費(室料+光熱水費)を求めていく観点から、給付対象となっている室料相当額について基本サービス費等から除外する見直しを行うべきである。
地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)の在り方の見直し
地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業は、各自治体が高齢者の伸び率を勘案した事業費の上限内で事業を実施し、個別の判断により事業費が 上限を超えても交付金の措置を認めることとされている。相当数の保険者が3年連続で上限を超過している。(中略)速やかに上限超過を厳しく抑制すべきで ある。
区分支給限度額の在り方の見直し
介護サービスは生活に密接に関連し利用に歯止めが利きにくいこと等から、制度創設時に、要介護度 ごとに区分支給限度額が設定された。様々な政策上の配慮を理由に、区分支給限度額の対象外に位置付けられている加算が増加。生活と密接に関連している度合が高いと考えられる、居宅における生活 の継続の支援を目的とした加算をはじめ、加算の区分支給限度額の例外措置を見直すべき。
軽度者に対する居宅療養管理指導サービス等の給付の適正化
近年、居宅療養管理指導・訪問看護・訪問リハビリテーションといった医療系の居宅系サービス費用が、総費用や要介護者数の伸びを大きく上回って増加。居宅療養管理指導等のサービスは、原則、「通院が困難な利用者」に対して以外にもサービスが提供されていないか、速やかに把握を行う必要がある。 居宅療養管理指導については、算定要件が明確化されたことも踏まえ、算定要件を満たす請求のみが 適切に行われるようにすべき。
最後に
これまで資料に取り上げられた中から6つの提案を切り取って掲載しましたが、これからも更に新たな 建議が出てくることが予想されます。 前期高齢者の利用者負担割合が6年前から2割負担となっている事もあり、介護の負担割合に手が加え られるのかケアプラン作成料に手が加えられるかのいずれかは有識者では必須と考えられております。 医療も2024年には制度改正(報酬改定ではなく、制度自体の見直し)が予定されています。 令和6年の制度改正まではまだまだ時間がありますが、その前に実現される見直しも補助金を絡めて実 施されるのではないかと思っております。 見直しが実施されましたらそういった内容について寿日記にてご紹介いたします。