施設名 | 公益財団法人曽於医師会 介護老人保健施設ありあけ苑 |
所在地 | 鹿児島県志布志市有明町野井倉8288-1 |
運営施設 | 介護老人保健施設ありあけ苑 通所リハビリテーション 曽於医師会立訪問看護ステーション 曽於医師会立居宅介護支援事業所 |
導入製品 | 介護トータルシステム『寿』 |
公益社団法人曽於医師会 介護老人保健施設ありあけ苑様(鹿児島県志布志市)は、志布志・曽於・大崎地域の在宅復帰支援・在宅介護支援の拠点として、介護老人保健施設・通所リハビリ・訪問看護・居宅介護支援事業などの介護サービスの提供を行っています。
今回は、施設一丸となって進めている「新全老健版ケアマネジメント方式R4システム」(以下:R4システム)の導入・定着への取り組みについて、安崎事務長、ケアマネジャー(以下:ケアマネ)の向窪様・木迫様・米永様・河野様にお話をうかがいました。
在宅復帰支援・在宅介護支援の拠点として
ありあけ苑様の地域における役割や目指しているケアを教えてください。
曽於医師会という公益社団法人の施設であるため、営利が目的ではなく、地域の社会福祉の増進に貢献することが役割であると常々思っています。
志布志・曽於・大崎地域というのは、「高齢者が入所して生活できる場所」という観点では、幸いにして比較的恵まれています。そういった地域では、”選ばれなければ”自分たちの施設の力を発揮できません。
当施設は、職員が専門性の向上を目指して自己研鑽しようとする姿勢、人とのつながりを重視し家庭的な雰囲気のユニットケアを提供できる点が選ばれる施設となる強みだと考え、ケアの向上に努めています。
利用者の状態・様子を『想像』できる
R4システムを導入された経緯をお聞かせください。
平成22年の老健大会に参加した際に、「事業所間・多職種間での均一な情報共有」、「その人らしく生活できるように、できることに焦点をあてる視点(ICFステージング)」というR4システムが掲げる理念・目指すケアに深く共感しました。
当施設では、旧来のアセスメント方式(MDSや包括的自立支援プログラム)と施設サービス計画書を使用していましたが、書類を読むだけでは利用者の状態が想像できないことが多いように感じていました。
また、ケアマネがせっかくアセスメントを行ったとしても、なかなか現場のケア担当者の目に触れることは無くプランを作成するためのプロセスの一部としてしか使われていないばかりか、現場の担当者用に「今度このような方をお迎えしますよ」という資料を別途作成していたため、作業の二度手間が発生していました。
実際にR4システムの様式を目にすると、当施設の抱える悩みを解決できるのではないかという思いが強くなり、導入を決意しました。
実際にR4システムを使用してみて、抱えていた問題に変化はありましたか?
利用者の”できること”を記入するので、利用者の状況を第三者が見ても理解・想像できるようになりました。今までのアセスメントでは、生活歴や家族への支援の項目などに不十分さを感じていましたが、R4システムでは十分に記載をすることができ、いろいろな家族の形やこれまでのライフスタイルを把握することに役立っています。
矢印や絵を用いているのも、介護はいろいろな人がかかわるという視点から考えると、誰でもその人のことをうかがい知れるということにつながっていると思います。家族に対して改善したことが説明しやすいのもいいですね。
「見やすく」、「説明しやすい」形式なので、現場のケア担当者へもA-2、A-3の部分は紙で見てもらうようになりました。栄養士や理学療法士、作業療法士などの専門職の職員には、情報の登録もお願いしています。多職種連携にも本格的に取り組んでいくために、去年から多職種カンファレンス・栄養マネジメント会議に力を入れています。
また、当施設ではA-1の基本情報、A-3のADLの状況を印刷し、紹介・退所用のサマリとして活用しています。現場のケア担当用・他事業所用に別途作成していた資料がR4システムの情報から用意ができるようになったので、手間のかかっていた作業が軽減できました。
ケアマネジメントサイクルに合わせた履歴管理
『寿』のR4システムに運用を切り替えた中で、使い勝手が変わったところはありましたか?
以前は、配布されていた老健版のシステムを使用していました。記入する内容に大きな違いはありませんが、入力の手間という意味では効率化された部分が大きいです。例えば、A-1からA-4まで作成し、三か月後に評価を行う際、今まではすべての履歴を追加しなければ評価の入力・計画の見直しを行うことはできませんでした。本来なら必要のない履歴が大量に作成されてしまい、履歴管理が大変だったことを覚えています。
『寿』では、A-1、A-2によるインテークのプロセス後は、A-3、A-4のみでケアマネジメントサイクルの履歴を作成可能で、実際の入所生活に沿ったシンプルで使いやすいものとなっています。
また、基本情報・アセスメント(R4)・計画(R4)・ケアの実施情報・請求が一つのシステムの中で完結するため、利用者の情報を二度打ち・三度打ちすることはなくなり、作業の効率化につながりました。
『寿』R4システム A-3(生活機能)画面
今後はR4システムをどのように運用していくお考えでしょうか?
2016年4月より、アセスメント・施設サービス計画をすべてR4システムで行うこと、その運用を現場のケア担当者まで広げようとしています。
ケアで忙しい中、現場のケア担当者にどれくらい関わってもらうか、どれぐらいの記録を入力してもらうかは、現在も模索中です。中には、パソコンの操作に対して不安を感じたり、『寿』の使い方がわからなかったりする職員もいるので、R4システムへの理解を深める勉強会を操作のレクチャーも兼ねて行う予定です。
システム上での情報共有も目指していますが、まだまだ紙を使う場面も多々あります。『寿』には画面・紙面を問わず文字の見やすさ、配置の調整のしやすさは今後も機能を追求していってほしいですね。